かいごる

かいごる / 介護業務コラム

訪問介護

訪問介護の入浴・排泄介助の記録例|安全観察と本人の動作を伝える書き方

入浴や排泄の記録は「入浴した」「トイレ介助をした」だけでは、次の訪問者が安全に同じ支援を続けられません。観察した事実、本人が自分でできた動作、職員が行った範囲、できなかった項目を分けて残すと、申し送りと振り返りに使える記録になります。この記事では、利用者ごとの計画や手順を前提に、記録へ落とし込む順番と短い架空例を紹介します。

公開 2026-10-12 ・ 読了目安 約8分 ・ かいごる編集部

POINT 01

まず「見たこと」と「行ったこと」を分ける

厚生労働省の「訪問介護・訪問入浴介護」は、入浴介助・排せつ介助を身体介護の例として示し、サービス準備・記録等には健康チェックや提供後の記録を含めています[1]。一方、記録の具体的な欄や表現は事業所の様式、訪問介護計画、個別の手順に従います。資料が示す区分を、そのまま全利用者へ同じ介助方法として適用するものではありません。

実務では、到着時の状態、介助前後の観察、本人の発言、実施した援助を時系列で短く書きます。「不安そう」「いつも通り」ではなく、「浴室まで手すりを使って歩行」「浴槽またぎで右足が止まり、声かけ後に両手で手すりを持った」のように、見た動作と対応を記録します。体温や痛みなどを測定・聴取した場合は値や本人の言葉を記載し、測っていない項目を推測で補いません。

実務チェックリスト

  • 到着時・介助前後の変化を分けた
  • 観察事実と解釈を混ぜていない
  • 本人の発言は引用または要約で残した
  • 計画・手順にない判断を記録だけで決めていない

POINT 02

入浴介助は「危険場面」と本人の動作を具体化する

入浴では、移動、脱衣、洗身、浴槽出入り、洗髪、更衣、入浴後の水分など、事業所の手順に合わせて場面を区切ります。すべてを長文にせず、転倒につながり得る場面だけは、足元、手すり、ふらつき、表情、声かけへの反応などを事実で残します。入浴を予定していても、本人の状態や環境から実施しなかった場合は、未実施の工程と理由、誰へ報告したかを分けて記載します。

架空例(本人ができた動作を残す目的):「脱衣所から浴室まで、本人が手すりを持って歩行。洗身は前胸部・腹部を本人が実施し、背部のみ介助。浴槽またぎは職員が腰部を支え、本人は右手で手すりを保持。入浴後、椅子から立位まで本人主導で実施」。これは能力を断定する文章ではなく、その訪問で確認できた動作の記録です。

実務チェックリスト

  • 浴槽またぎ・立ち上がりなど危険場面を書いた
  • 本人が行った部分と職員が支えた部分を分けた
  • 入浴中止・部分浴・清拭など未実施工程を明記した
  • 異変があれば事業所の報告手順につないだ

POINT 03

排泄介助は「結果」だけでなく経過を残す

排泄は、誘導、衣類操作、便座への移乗、排泄後の清拭、パッド・おむつ交換、手洗いまで、どこを支援したかが次回の安全に関わります。排泄物の性状を記録する場合も、事業所で定めた観察項目の範囲にとどめ、診断名や原因を推測しません。「便秘」「脱水」と断定するのではなく、回数、本人の訴え、観察した事実を記録し、必要な連絡は別の報告ルートで行います。

架空例(実施と未実施を明確にする目的):「トイレへ声かけ誘導。居室から便座まで歩行は見守り。ズボン下げ・上げは本人が実施。清拭は本人実施後、仕上げのみ介助。排尿あり。手洗いは声かけで実施。パッド交換は未実施(汚染なし)。本人より『立つと少し不安』との発言あり、サービス提供責任者へ申し送り」。

実務チェックリスト

  • 誘導から手洗いまで支援範囲を確認した
  • 排泄の有無と未実施項目を分けた
  • 本人の訴えと記録者の判断を分けた
  • 継続観察や報告が必要な事実を申し送った

POINT 04

実施・未実施を一行で終わらせない整理法

厚生労働省の「訪問介護サービスの業務効率化」資料は、記録を職員間の情報共有とケアの連続性に使う書類と位置づけ、5W1H、事実の記載、簡潔な文章、チェック形式と備考欄の組み合わせを例示しています[2]。そこで、様式に「実施」「一部実施」「未実施」「本人が実施」「職員が介助」を用意し、選択だけで終わらせず、差が生じた工程を備考へ一文で補う運用が有効です。これは事業所の推奨運用であり、全国共通の様式を意味しません。

例えば「入浴:一部実施」だけでは不十分です。「洗身は本人、浴槽出入りは介助、洗髪は未実施(本人が疲労を訴えたため)」「排泄:実施、移乗は見守り、衣類操作は本人」とすると、計画との差分と次回の確認点が読めます。未実施理由は「拒否」など一語で決めつけず、本人の言葉や観察事実を添えます。

実務チェックリスト

  • 実施・一部実施・未実施の区別がある
  • 未実施の工程と事実上の理由を書いた
  • 本人実施と職員介助を別欄または別文にした
  • 次回確認点が一文で読める

POINT 05

安全に関わる記録は報告とセットで扱う

厚生労働省の「事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン」は、個々の身体状況や環境を踏まえたリスク評価、状態変化に応じた見直し、事故状況と対応の記録の重要性を示しています[3]。ただし同ガイドラインの施設向け記載を、訪問介護の全ケースへそのまま当てはめることはできません。訪問介護では、事業所の事故・ヒヤリハット・緊急連絡の手順に従い、記録と口頭連絡を使い分けます。

架空例(安全観察と報告をつなぐ目的):「浴室入口で一歩目にふらつき、壁に左手をついた。転倒なし。いったん椅子で休憩し、本人に再開の希望を確認。入浴は清拭へ変更し、管理者へ訪問終了後に報告」。医療的な評価や介助方法の変更を記録者だけで決めず、必要時は管理者、サービス提供責任者、ケアマネジャー等へ事業所ルールに沿って共有します。

実務チェックリスト

  • 転倒の有無を含め安全事実を書いた
  • 中止・変更時の本人の意向を確認した
  • 誰へいつ報告したかを残した
  • 診断や全国一律の介助選択を記録で断定していない

よくある質問

入浴できなかった日は、記録に何を書けばよいですか?

予定していた工程、実施できなかった工程、確認した事実、本人の発言、代わりに行った支援、報告先を分けて書きます。例えば「浴槽入浴は未実施。浴室入口でふらつきあり、本人が休憩を希望。清拭へ変更し、サービス提供責任者へ報告」のようにします。

本人ができた動作は、毎回詳しく書く必要がありますか?

毎回すべてを長文にする必要はありません。前回との差がある動作、次の訪問者が安全確認したい動作、計画上の自立支援に関わる動作を優先し、本人実施・見守り・介助の範囲を短く残します。

排泄の色や量から病気を推測して書いてもよいですか?

記録には観察した事実と本人の訴えを残し、診断名や原因を推測して断定しません。事業所の観察項目に沿って記載し、異常が疑われる場合は、定められた報告・相談手順で管理者等へ共有してください。

参考にした公式資料

本記事は公開日時点の公式資料をもとにした一般的な解説です。実際の取扱いは最新の法令・通知と指定権者・自治体の案内をご確認ください。

記事の構成・文章作成にはAIを補助的に利用しています。制度上の取扱いはリンク先の公式資料でお確かめください。

本文中の記録例は説明のための架空例です。実際の記録には確認できた日時・行為・発言だけを記載してください。

記録作成から確認・印刷まで一元化

予定表の写真・PDFを取り込み、日付・時間・担当者を確認してサービス提供記録を作成できます。

かいごるの機能を見る ・ 導入について相談する