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かいごる / 介護業務コラム

事業所運営

訪問介護事業所の苦情対応記録と記録表をつなぐ改善の進め方・実践編

苦情対応は、謝罪の場で終えると同じ不満を繰り返しやすくなります。受付から結論、日々のサービス提供記録への反映までを分けて残すことで、利用者・家族への説明と現場の改善を両立できます。ここでは、訪問介護事業所で無理なく運用できる記録の考え方を整理します。

公開 2026-10-18 ・ 読了目安 約7分 ・ かいごる編集部

POINT 01

苦情記録は、対応を改善へつなぐ起点

指定訪問介護事業者には、利用者・家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するための受付窓口などの措置が求められ、苦情を受け付けたときは内容等を記録しなければなりません。市町村や国保連の調査への協力、指導・助言を受けた場合の必要な改善、求めがあった場合の改善内容の報告も規定されています。[1]

ここでいう苦情記録は、担当者の記憶メモではありません。「何が起きたと訴えられたか」「事業所が何を確認し、いつ誰に説明したか」「どの改善を決め、実施を確かめたか」を追える専用の記録です。自治体の手引きでも、日誌や介護記録に苦情対応の項目を混在させず、専用様式で対応経過を具体的に残すことが勧められています。[3]

苦情の有無だけで事業所を評価せず、利用者の視点でサービスを点検する機会として扱う姿勢が重要です。苦情が小さい段階で原因を見立て、現場へ戻すほど、関係悪化や同種の苦情を防ぎやすくなります。[3]

POINT 02

記録表にそろえる六つの項目と役割分担

専用の苦情対応記録表には、実務上の整理例として六つの欄を設けます。これは法定の統一様式ではありません。①事実は、受付日時、申出者、対象の訪問日時・場面、発言を分けて時系列で書きます。推測や評価語を混ぜず、「家族が『予定時刻を過ぎても連絡がなかった』と話した」のように、発言者が分かる表現にします。

②希望は、申出者が何を求めているかです。謝罪、説明、担当変更、再発防止などを、事業所側の解釈で置き換えず確認します。③受理は、誰がどの経路で受け、受付番号をどう付したか、管理者・苦情担当責任者へいつ報告したかです。苦情を受けた職員が一人で抱え込まない連絡ルールを、管理者を最終責任者として決めておきます。[3]

④対応は、職員や記録の確認、聞き取り、暫定措置、検討会の内容を、日時・担当者・根拠資料とともに積み上げます。⑤連絡は、本人・家族・居宅介護支援事業所などに伝えた内容、相手の受け止め、次回連絡予定を残します。関係機関へ氏名等を伝える必要があるときは、あらかじめ本人の意向・同意を確認します。[2] ⑥結論は、確認できた事実、対応可否と理由、改善策、完了確認日、未解決なら次の相談先を記します。

実務チェックリスト

  • 受付者・受付日時・申出経路を記入した
  • 申出内容と申出者の希望を、事実と分けて記した
  • 管理者または苦情担当責任者への報告時刻を残した
  • 確認した人・資料・結果と、利用者等への連絡内容を時系列にした
  • 改善策の担当者・期限・効果確認日を決め、結論欄を閉じた

POINT 03

日々の記録表には「ケアに必要な最小限」だけ転記する

苦情対応記録と日々のサービス提供記録は、目的が異なります。前者は申出から解決・改善までを説明できるようにする管理記録です。後者は、その訪問で実施したケア、利用者の状態、次の訪問者に必要な留意点を残すサービス記録です。指定訪問介護では、苦情の内容等の記録に加え、提供した具体的なサービス内容等の記録も整備対象です。[1]

そのため、日々の記録表に苦情の全文や家族とのやりとりを写す必要はありません。たとえば、苦情を受けて「開始時刻が変わる場合は、訪問前に連絡する」と決めたなら、当日の記録には「訪問時刻変更時は事前連絡の運用。家族へ連絡済み」のように、ケアの継続に必要な指示だけを転記します。苦情の評価、職員間の見解、交渉経過は専用記録に留めます。

【架空例】家族から『ヘルパーが急いでいるように見えた』と電話がありました。専用記録には、発言、対象日、希望、当該ヘルパーとサービス提供責任者の確認、説明・改善の経過を記載します。日々の記録には、確認の結果必要になった「更衣介助は利用者の返答を待ってから次の動作に移る」という共通のケア留意点だけを記します。これなら必要な引継ぎをしながら、苦情の詳細を広げずに済みます。

POINT 04

匿名化した共有と再発防止を、日常の運用にする

解決後は、管理者または苦情担当責任者が月次などの定例で記録を見返します。件数を数えるだけでなく、場面、時間帯、説明不足、連絡漏れなどの傾向を分類し、「なぜ起きたか」「既存の手順で防げたか」「誰がいつ見直すか」を一件ずつ決めます。自治体の資料も、原因と対応の妥当性を分析し、再発防止策を検討して職員間で共有することを求めています。[3]

研修や朝礼で共有する際は、利用者名、住所、病名、家族関係などの特定につながる情報を外し、架空の識別子に置き換えます。病名や個人情報を、注意喚起のためだけに広く共有することは勧められません。従業者には秘密保持義務があり、個人情報をサービス担当者会議等で用いる場合は、あらかじめ文書による同意が必要です。[1] 必要な範囲・相手・目的を定め、アクセスできる人も絞りましょう。

保存期間は、国の基準では指定訪問介護に関する苦情記録を完結の日から二年間保存するとされています。[1] 一方、自治体条例等でより長い期間を定める場合があります。たとえば宮城県国保連の資料も、地域の条例確認を案内しています。[2] 『全国一律で5年』と決めつけず、事業所所在地の条例、指定権者の指導資料、法人の文書規程を照合して保存年限を定めてください。

実務チェックリスト

  • 共有用資料から氏名・住所・病名などを外した
  • 再発防止策に担当者、実施期限、確認方法を付けた
  • 改善後の訪問で、利用者・家族の受け止めを確認した
  • 所在地の条例・指定権者資料・法人規程で保存年限を確認した

POINT 05

迷ったときの対応順と、外部機関への協力

受付時に結論を急がず、まず相手の話と希望を確認し、回答できる時期を伝えます。次に管理者・苦情担当責任者へ報告し、関係職員、訪問記録、連絡記録から事実を確認します。そのうえで、暫定対応、説明、改善策、効果確認へ進みます。相談・苦情内容と対応経過を記録票等に残し、組織として改善に取り組む流れは、国保連の手引きでも示されています。[2]

市町村や国保連から照会・調査があれば、専用記録と根拠資料をもとに協力します。指導・助言を受けた場合には必要な改善を行い、求められたときにその内容を報告します。[1] ただし、報告の要否や期限は案件、自治体、連絡元により異なります。全国共通の提出期限があるかのように扱わず、受けた通知と指定権者の案内を確認しましょう。

本稿は日常運用を整理するための一般的な情報です。事業所の指定基準、個別の事故・虐待疑い、情報提供の可否は、所在地の指定権者や専門家に確認してください。かいごるに苦情管理機能はなく、本稿は第三者監修を受けたものではありません。法令適合や成果を保証するものでもありません。

よくある質問

苦情と相談は分けて記録した方がよいですか?

名称より、内容・希望・対応経過を追えることが重要です。相談から苦情へ発展することもあるため、同じ記録様式で受付区分を選べるようにし、苦情として受理した時点と対応を明確に残す方法が実務的です。東大阪市も事業者向けに「苦情(相談)対応記録」の参考様式を公開しています。[4]

家族への説明は、確認前でもしてよいですか?

受付の事実、今後の確認方法、次回連絡の見込みは早めに説明します。一方で、原因や責任の断定は、関係職員・記録を確認してから伝えます。事実確認なしに謝罪や賠償だけで済ませようとしないことが自治体の手引きでも指摘されています。[3]

再発防止策はどこまで記録しますか?

対策名だけで終えず、担当者、期限、対象となる業務、周知方法、効果を確かめる日と方法まで専用記録に残します。日々の記録表には、次の訪問で守るべきケア上の留意点だけを最小限に転記します。

参考にした公式資料

本記事は公開日時点の公式資料をもとにした一般的な解説です。実際の取扱いは最新の法令・通知と指定権者・自治体の案内をご確認ください。

記事の構成・文章作成にはAIを補助的に利用しています。制度上の取扱いはリンク先の公式資料でお確かめください。

本文中の記録例は説明のための架空例です。実際の記録には確認できた日時・行為・発言だけを記載してください。

記録作成から確認・印刷まで一元化

予定表の写真・PDFを取り込み、日付・時間・担当者を確認してサービス提供記録を作成できます。

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